第19章 天は藍よりも青く
結構深い空間がそこにはあった。
「懐中電灯かなにかないですかい?」
植源さんが言うと、相葉ちゃんがランタンやら何やら持ってきてくれた。
大角さんは玄関から靴を持ってくると、ひらりと底に降り立った。
大角さんは胸くらいまでしか見えなくなった。
「この下に更に部屋があるんで」
「ええっ…」
「部屋っていうのは大げさだけど、貴重なものを入れておける分の空間はあるんですよ」
植源さんが教えてくれた。
大角さんがしゃがみこんでゴソゴソしていると、やがてまた、底の扉が開いた音がした。
「こいつあ…」
大角さんが声を上げた。
「なにかありましたか!?」
和也が声を掛けると、大角さんは顔を上げた。
「へい。ありやした」
結構大きめのダンボールが8箱出てきた。
皆で一生懸命それを上に上げた。
最後には汗だくになった。
「いや…佐穂さんはこれを一人で地下に入れたんでしょうかねえ…」
植源さんもびっくりしている。
なんとか上げ終わって、植源さんと大角さんは帰っていった。
なにかお礼をしようとおもったんだけど、なんにもできなかった。
だって年寄りの癖に、礼をしようとしたら疾風のごとく去っていくんだもん…
今度強制的にお礼しよう。