第19章 天は藍よりも青く
家に入って早速翔ちゃんの書斎に向かう。
ソファーやらテーブルやらを手早く出して、敷いてあった絨毯を剥ぎとった。
「こいつです」
大角さんが指し示したのは、部屋の中央にある四角い切れ込み。
「ああ…これ、なにかと思ってたけど、収納庫だったんだ」
翔ちゃんが意外そうな声を出した。
「ああ、懐かしいねぇ…戦前の家にゃどこにでもあったもんだけど」
植源さんが顎を撫でながら眺めている。
「こいつあ開け方があるんで」
大角さんが器用に床に埋まっているつまみを引っ張りだした。
「えっ…こんなとこに…」
相葉ちゃんが興味津々で覗き込む。
「へい。これなら普段の生活でもひっかからなくていいでしょう?」
床と同化していて、ツマミがそこに隠れているってわからなかった。
「ここの家を建てたでえくは、腕が良かったんですよ。だからこんな上等な拵えができたんでしょう」
つまみを引っ張りあげると、切れ込みが上にあがって、一気に冷たい空気が部屋に流れ込んできた。
「うわっ…」
思わず顔を覆うほどの大量の冷たい空気。
大角さんが床板を固定すると、みんなで床下を覗き込んだ。