第19章 天は藍よりも青く
「これは…脂の蕩けではない…!赤身が蕩ける…!」
翔ちゃんが感動して叫んだ。
味音痴の俺は、そんなウマイこと言えなかったけど、でも翔ちゃんの言ってることはわかった。
「こんな蕩けるの初めてかも…」
和也も夢中で食べている。
植源さんがニコニコして緑茶を出してくれた。
「そうでしょう。ウマイでしょう?」
大角さんと目を合わせると、嬉しそうに笑い合っている。
なんか幼なじみっていいなあ…
地元愛っていいなあ…
俺達の住んでるあの家も。
俺達にとってこうなっていければいいな…
そう思ってたら、和也が俺の顔を覗き込んできた。
むふっと笑うと俺の口の端についた米粒を取っていった。
恥ずかしい…
「ありがと…」
そういうとむふふっと俺たちは笑いあった。
すっかりと食べ終わると、俺は眠くなってきた。
昨日のあれのせいだ…
姫始め…
目をこすっていると、植源さんが座布団を並べてくれた。
そこに横になれという。
「いや、だって今から話…」
「いいから寝てなさいって」
翔ちゃんまで。
「ちょっと…」
言ってる間に俺は寝かされて、布団まで掛けられた。
布団はばあちゃんちの匂いがした。