• テキストサイズ

天は藍よりも青く【気象系BL小説】

第19章 天は藍よりも青く


「いいえ!こちらが勝手に押しかけてきたんですから…」


潤が手をぷるぷる振ってる。


「今日、慌てて女房に詰めさせたものもあるんで…だから、本来のおせちじゃないんで…すいやせんね」


てへっと大角さんは笑うと、キューピーちゃんみたいになった。


かわいい…


おせちを頂いていると、玄関の呼び鈴が鳴ってお寿司が届いた。


江戸前特上寿司…


「こいつぁ、本物の江戸前なんで。どうぞ召し上がって下さい」


ご近所のお寿司屋さんは戦後から浅草にある隠れた名店だそうで…


江戸前というのは江戸の前にある、今で言う東京湾で採れたものを使った寿司という意味だ。


東京湾で採れないものは使っていないから、マグロとかなかった。


「これ、めっちゃ高そうじゃね?」


翔ちゃんがぽつりと呟く。


マグロとかないけど、東京湾で取れるであろう高級魚介類が惜しみなく使われていた。


ちょっと地味な色合いだったけど、高そうだなとは俺も感じた。


「うまい…」


なまものがダメな和也が唸った。


「ここの寿司屋は新鮮なものばかりじゃなくて、ちゃんとネタを熟成してるのもあるやすから…」


そう言って勧めてくれた赤身の握りは口の中に入って蕩けた。
/ 779ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp