第19章 天は藍よりも青く
弁護士にもらった書類の中に、ばあちゃんの墓の位置を書いたものがあって、翔ちゃんはそれを持ってきていた。
さすが翔ちゃん。
遠くにお寺さんの屋根が見える。
相当広い霊園だった。
ぞろぞろ歩いていると、翔ちゃんが立ち止まった。
「あ、ここだ」
見ると墓には「千石家之墓」と書かれている。
墓石の横には、たくさんの名前と一緒に、「涼太」「佐穂」と刻まれている。
「うん。間違いないね」
和也も確認してくれた。
皆でお線香とか、菊の花とか用意したものを袋から出した。
相葉ちゃんが水道でお水を汲んできてくれた。
皆で柄杓に水を汲んで、墓石に水を掛けた。
お掃除は必要ないほど綺麗だったので、そのままお参りだけすることにした。
「本家筋の人でも来てお掃除してくれてるのかね?」
「さあ…旦那さんのほうの親戚のことは全然わからない」
今度親に確認しておこう。
「弁護士さんの書類読みなおしておくわ…」
「ごめん…翔ちゃん…」
準備が終わったら、皆で手を合わせた。
正月早々お墓参りなんか来る人も居ないのか、霊園は誰も居なかった。
シンとした空気が俺たちを包んでいた。