第19章 天は藍よりも青く
本当にすぐにでえくさんはやってきた。
「おい源ちゃん…」
でえくさんは座敷に入ってきて、絶句した。
「こいつぁ…本当に…有名な方々じゃねえか…」
植源さんとは正反対に、でえくさんはつるっぱげだった。
でもこちらはノース・フェイスのフリースにスエットという下町のおじさんスタイルで和んだ。
「あっしは、大工をやっております角田ともうします」
ぺこりと頭を下げる姿は、植源さんとそっくりだった。
「大角っていう屋号でやってますんで…以後、よろしくしてやってください」
植源さんも一緒に頭をさげて、おれたちはへどもどと頭をさげた。
「で、優ちゃんよ。この地図なんだがよ…」
植源さんが大角さんに地図を見せた。
「優ちゃん…?」
相葉ちゃんが思わずといった感じで呟いた。
「あっ…あっしの名前です。優一郎っていうんで…」
色白の頬を真っ赤に染めて大角さんが頭髪のない頭を掻いた。
「源ちゃん、人様の前で呼ぶなって言っただろうが…」
「済まねえな優ちゃん…」
「またいいやがったな!このトンチキ…」
「しょうがねえだろうが!もう50年以上呼んでるんだから!」