第19章 天は藍よりも青く
「幸い、あの家の修繕に入っていたでえくとは顔見知りなんで。ちょっと連絡してみましょう」
そういうと親父さんは廊下にある電話に歩いて行った。
「そんな大工さん居たんだね…智くん、ちゃんと教えてよ…あやうく別の業者さんに頼むとこだったじゃん…」
「そういえば、弁護士の書類のなかに書いてあったかも…」
「ちゃんと読みなよ、そういうの…」
相葉ちゃんにまで言われてだいぶへこんだ。
「この人に、そういうこと求めちゃだめでしょ」
和也がきっぱりと言ってくれたけど、余計へこんだ。
「家帰ったら弁護士の書類見せてね?」
翔ちゃんに念押しされた。
親父さんが座敷に戻ってきた。
「今、来ますから」
「へ?」
「いえね、すぐ近所なんで。そのでえくの家」
「え?なんで…」
「あっしが紹介したんで」
そう言っておやじさんは頭を掻いた。
なんでも家を建てたのは別の大工だったらしいけど、その大工は事故で商売を畳んでしまったらしい。
困っていたばあちゃんに、親父さんが力を貸したってわけだ。
「親父さん、やるねえ…」
「やめてくだせえ…ぼっちゃん…」
照れる親父さんはなんか可愛かった。