第19章 天は藍よりも青く
「いやいやいや…こりゃ、おめでとうございます。お揃いで…」
俺達に上がるよう勧めて、親父さんは家の中に入っていった。
家の中は寡夫とは思えないほど、綺麗にしてある。
よく磨かれた廊下を進んでいくと、左手にこじんまりとした座敷があって、そこに通された。
「すいやせん、男の一人暮らしなもんで、正月の準備は何一つしてないんで…」
「いえいえ…植源さん、お構い無く」
翔ちゃんが卒なく受け答えしている横で、相葉ちゃんが手土産の包を開けた。
「ほら、お茶菓子持ってきたから!」
「こ、こら!」
潤が慌てて止めたけど、親父さんは豪快に笑った。
「相葉さんは発想が凄いですねえ!」
そう言って、豪快にポットとお茶のセットを持ってきてくれた。
皆で手分けしてお茶を淹れる。
親父さんは恐縮してたけど、急に大人数で訪れたのはこっちだから、気にしないでと伝えた。
「いや、嬉しいもんですね。賑やかな正月は久しぶりです」
そんなこと言うから、なんだかきゅんとした。
「息子夫婦は千葉に家持っておりますから、いつも遠慮してるんですよ」
「なんで?嫁さんと上手く行ってないの?」
和也がずけずけと聞く。