第19章 天は藍よりも青く
「なんか凄いね…ずっと黙ってるって…」
「ね?なんか意味深でしょ?だからヘルガの絵ってスキャンダラスなイメージが付いてるんだよね」
俺の説明いらなかった。
「蔵いってみようか」
翔ちゃんが立ちあがった。
潤はごんっと床に落ちて飛び起きた。
5人で蔵に入ると、すぐに階段を登って2階に上がる。
そういえば、ここに入ったの俺だけかもしれない。
「わー…まだこんなにあったんだね」
「ん。俺も、和也の稽古のとき見つけてさ。さっき見るまでこんな絵があるの知らなかった」
「あ、ミュシャだっけ。こっちにもあるね」
和也がまた絵をだして喜んでる。
「こっちもまた凄いのばっかりだね…」
翔ちゃんが検分しながら呟く。
相葉ちゃんと潤も、一枚一枚絵を見て「見たことある!」と言い合ってる。
「で、手紙はどこにあったの?」
「ここ」
カンバスの列の一番右。
この列の真ん中に挟まっていた。
「ふうん…あ、これか…ヘルガ」
ヘルガシリーズを1枚1枚取り出して翔ちゃんは眺めてる。
「おばあちゃん、ほんと凄いね…智くん」
「うん…これだけ模写するの、ホント苦労したと思うよ…」