第19章 天は藍よりも青く
智くんへ
親戚なので、堅苦しい挨拶は抜きにしておきますね。
いつもテレビでご活躍を拝見しております。
キラキラ輝くようなあなたの笑顔に、惹かれているファンの皆さんがたくさんいること、私はとても喜んでいます。
いつまでも、ファンの皆様のことを忘れずにご活躍を続けることを祈っております。
さて、この度は貴方にこの家の相続をお願いすることに致しました。
小さいころに何回かしかあったこのとのない貴方に、こんなことを頼むのは非常に心苦しいです。
でも貴方にしか頼めないと思っています。
年寄りの勝手な我儘に貴方を巻き込むことをどうかお許し下さい。
一枚目の便箋は、ここで一旦終わっていた。
「まだ二枚目あるね…」
和也が二枚目の便箋を出すと、なんだかむずむずしてくる。
「俺、ほんとにばあちゃんのこと知らないのに…なんかこんな手紙もらって悪いきがする…」
「でもおばあちゃんは智のこと知ってんだからさ。そんな風に思う必要ないよ」
「そうだけどさ…」
年寄りからありがとうとか言われ慣れてないから、なんかくすぐったくてしょうがなかった。
特別、この家に関しては感謝されるようなこともした覚えがなかったし。