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天は藍よりも青く【気象系BL小説】

第19章 天は藍よりも青く


ワイエスは独特な描写の指導のされ方をしていえる。


父親に「まずは目で見て描け」と言われて描き、その次は真っ白な紙に向かって「何も見ずに描け」と指導されていたらしい。


そのせいか、ワイエスの描く絵は全てがぼんやりとしたリアリティに溢れている。


そのぼんやり感がとても好きだ。


「ばあちゃんと俺…趣味が合うのかな…」


何枚か見ていくとヘルガの絵があった。


「わお…」


このスキャンダラスな絵を、なぜばあちゃんは描いてみようと思ったんだろう。


キャンバスを持ち上げると、はらりと何か落ちてきた。


「ん?」


見ると、茶封筒だった。


拾い上げると、中になにか入っている。


ばあちゃんには悪いと思ったけど、俺は封筒の中身を出してみた。


手紙が入っていた。


『智くんへ』


「えっ!?」


思わず声を上げた。


「俺宛なの!?」


びっくりしてキャンバスを取り落とした。


「うわっ!」


慌てて拾い上げて元の位置に戻す。


改めて茶封筒を見ると、やはり俺宛になっている。


なんだか喉が渇いた。


母屋で茶でも飲みながら読もう。


蔵の片付けもそこそこにして、俺は母屋に向かった。
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