第5章 グリーンフィンガー
涙が零れそうになって、楠を見上げた。
枝組の隙間から淡い陽の光が注ぐ。
なんにも潤が見えてなかった。
俺は自分のことばっかりで、なんにもメンバーにしてやれない。
消えたくなった。
みんな、一生懸命なのに…
「リーダー」
相葉ちゃんの声。
「ん…」
返事をしたいけど、泣きそうでできない。
相葉ちゃんが俺を覗きこんできたかと思うと、キスをした。
ちゅっと軽く触れて、離れていった。
「リーダーが責任感じることじゃないから…」
そう言って俺の手を取った。
ベンチから立ち上がらせると、手を握って歩き出した。
「翔ちゃんは…?」
「ニノが寝かしつけてる」
「そっか…ごめん、俺…」
「いいの。そんなこと気にしないの」
相葉ちゃんが手をぎゅっと握った。
庭に作った小径を歩く。
太陽は真上に来てた。
影が短い。
新しく作った池の前にきた。
「ね、ここに蓮を入れてもいい?」
「はす?」
「うん。浮草よりも蓮入れたほうが、絶対きれいだよ」
「でも、植源さん、蓮は難しいって言ってなかった?」
「大丈夫。俺がお世話するから」
自信満々で相葉ちゃんは笑った。