第18章 Groove
和也がマグカップを持って、とことこ潤の部屋に歩いて行く。
俺はなんとなく後ろについてった。
潤の部屋のドアをノックする。
「潤ー?和だよ。入るよ?」
中から小さく嵐の楽曲が聞こえてくる。
扉を開けると、左手にキングサイズのベッド、右手にテーブル。
その横にはちょっとしたデスクがあって、潤はそこに居た。
部屋を真っ暗にして、ポータブルプレイヤーで動画を見てる。
ブルーライトが潤の顔を照らしてた。
「潤?」
そっと歩み寄ってメガネを外した。
「えっ…?あっ…なに?」
潤がびっくりした顔をしながら俺たちを見た。
「ココア。持ってきた」
和也がにっこり笑う。
「あ…ありがとう」
潤はマグカップを受け取ると、映像を一回止めた。
「電気くらい点けなよ」
和也が照明のスイッチを押した。
「眩しいと集中できないんだよ…」
潤が目頭を押さえながら、呻く。
「まあまあ…休憩の時くらいはね」
そう言ってベッドに腰掛けた。
「ちょっと息抜きなよ…」
俺も和也の横に腰掛けた。
「んー…でも初日じゃん?だからまだ詰め切れてないとこがね…」
その声色には余裕がなかった。