第18章 Groove
コンサートツアーが始まった。
今回は直前に和也の舞台とかあったから、全体のリハは11月に入ってから集中して行われた。
年末進行に向けて忙しくなり始める時期。
俺たちは慎重に体調を整えて、この時期を迎えた。
俺の振り付けした曲も5曲になった。
前に振り付けたのも入れたら7曲やることになる。
潤は福岡に入る前の日から、ピリピリし始めた。
これまで穏やかに過ごせていたのにな…
やっぱり幕が開くまでは安心できないか…
出発の前の日、皆で準備したトランクケースを居間に集めた。
「よし。これでおっけーだな」
潤の分は、相葉ちゃんが持ってきた。
「まだ篭ってんの?」
「うん…映像チェックしてる」
相葉ちゃんが肩を竦めた。
「まあ、ああなったら俺達にはどうしようもできないから…そっとしとこ?」
翔ちゃんも肩を竦めた。
和也は台所でなにかしてる。
トランクを持ち寄ったらすることがなくなった。
なんとなく手持ち無沙汰になって、リビングでゴロゴロしてる。
台所からココアのいい匂いが漂ってきた。
「和也?」
台所に行くと、和也がココアを作ってた。
「んー?」
「なにしてんの?」
「潤に持ってってあげるの」