第17章 芽
「智!さーとしーぃ!」
「うわっ!」
真夜中、いきなり起こされた。
ベッドの横で、けらけら笑う和也が居た。
「もー!あんた、シなかったの!?」
「すっ…するかよ!お前が仕事してんのに…!」
ごめん、潤のケツは舐めた…
「うっ…くうう…智ぃ…好き…」
大げさなリアクションを取りながら、和也が抱きついてきた。
「大好き!大好き!」
「か、和也…」
完全に酔ってる…
ぎゅうっと俺の胸板におでこをつけてくる。
「ねえ…俺、まだ残ってる…」
「うん…」
「役が、こんなに残るの初めてだよ…」
「うん…良かったな。だって、お前凄かったもん…」
「……ホント?」
「和也の代表作になるんじゃない?」
「えっ…」
「そのくらい、良かったよ」
「ほんと…?」
「ああ…ホントだよ…」
和也の目がみるみる潤んできた。
やがて大粒の涙を零すと、俺に抱きついてきた。
「智…好き…大好き…」
「ん…わかったから…」
和也の匂いでクラクラした。
今すぐ抱きたい…
でも…抱けない…
「俺…内くんには悪いんだけど…」
「え…?」
「ずっとね…リュカがあなたに見えてたの…」