第17章 芽
役が自分に降りる。
そんな感じだったんだろう。
今ではよくわからないけど。
あの時は、普段の生活の時にも成瀬が中に居るようだった。
自分なんだけど、自分じゃない。
他の役者仲間に聞いたら、そんなことにはならないって言われた。
俺だけなのかな…
役が、身体に残るって。
翔くんが風呂に行って、俺も二階へあがった。
荷物を片付けてると、和也が帰ってきた。
「おかえり」
部屋から顔を出すと、和也はふっと微笑んだ。
「ただいま…」
…残ってるな。
「リオネル、風呂入った?」
「…まだだよ?リュカ」
ぷっと吹き出すと、和也は俺にキスをした。
「智…いっしょにはいろ?」
「うん…」
翔くんが風呂からあがるのを待って、二人で二階から降りた。
風呂はお湯が入れ替えてあって、すぐに入れた。
「和也」
服を脱がしてやった。
「…なんか恥ずかしい…」
「なんでさ」
「わかんない…」
「リオネルだから?」
「そうかも…」
ぎゅっと俺を抱きしめた。
「智…好き…」
「ん…和也…好きだ…」
「今日、ありがとね…」
「ん?」