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天は藍よりも青く【気象系BL小説】

第16章 IF…


部屋に戻ってもリュカは居ない。


ベッドに腰掛けると、外の音に耳を澄ました。


一層、さっきよりも騒がしい。


銃声が何度も聞こえる。


人の叫ぶ声、うめき声。


波のように部屋に押し寄せてきている。


バタバタと音がして、部屋の扉が開いた。


「兄さん!」


リュカが飛び込んできた。


「兄さん、どうなるの…?」


俺の膝にリュカが縋ってくる。


「怖い…怖いよ…兄さん…」


起き上がると、リュカの顎を持つ。


「なにが…?俺よりも怖いの?」


はっとした顔をすると、リュカは後ずさる。


「兄さん…?」


「おまえ、あの女中と…」


リュカが目を瞑った。


「兄さん…ごめんなさい…」


決定的に、なった。


リュカは俺の手のひらには戻ってこない。


永遠に。


「彼女を愛してる…」


愛?


なんだそれ。


愛で、お腹がいっぱいになるのか?


さっき初めて抱いた女を思い出した。


あのぬめっとした中に挿れた瞬間は気持ちよかった。


だけどそれだけだった。


それなのに、女は”愛してる”といいやがった。


愛って、そんなものなのか?


愛で腹なんて膨れない。


そんなもの、いらない。

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