第5章 グリーンフィンガー
そう言って、俺の顔を見た。
にっこり笑った。
俺もつられて笑う。
昨日あったことなんて、まるでなかったように。
「リーダー。昨日言ったこと、本気だよ?」
そういうと、勝手口から家に入っていった。
マジかぁ…
俺は頭をぽりぽり掻いた。
とぼとぼと温室に歩いて行く。
リニューアルした温室には、たくさんの植木鉢。
まだ花をつけてないけど、たくさん元気な緑の鉢が並んでる。
外はまだ肌寒いけど、温室のなかはぽかぽかだった。
相葉ちゃんが置いた、木のスツールに腰掛ける。
温室の中を一望できるところに置いてある。
まだ咲いてないけど、温室の中央に置いてある鉢には、真っ赤な花が咲く。
写真を見た時、直感でコレに決めた。
燃えるような赤の花。
その赤が、まるで相葉ちゃんに見えた。
情熱的な炎の赤。
紅蓮の炎の中から、俺に手を伸ばしてくる。
頼むから…引きずり込まないで
目を閉じて、花のイメージを追い出す。
キィと音がしたかと思うと、ニノが入ってきた。
黙って俺に近づいてくると、スツールの端っこに腰掛けた。