第5章 グリーンフィンガー
翌朝、起きたら相葉ちゃんが居なかった。
ニノはまだ俺の腕の中で眠ってた。
くぅくぅと寝息をたてて、無邪気な顔してる。
口の端が笑ってるみたいに上がってるから、子供みたいだ。
”大野さんは俺のものなの”
ニノの言葉が蘇った。
それって…
それってさ、ニノ。
本心なの?
白い頬にそっと触れる。
指でなでたら、しっとりと吸い付いた。
パラパラと音が聞こえた。
雨が降ってきたのかと思って、外を見るといい天気。
カーテンを開けて窓から庭をみたら、相葉ちゃんが庭木に水を遣ってた。
最近、雨が振ってなかったから水をあげてるんだ。
ニノにそっと布団を掛けて、下に降りた。
台所からサンダルを引っ掛けて、庭に出た。
「あ、リーダー。おはよ!」
あんなに昨日泥酔してたのに、この爽やかな笑顔…
「おはよ…相葉ちゃん」
相葉ちゃんはにっこり微笑むと、また水やりに戻った。
きらきら水が朝日に輝いてきれいだった。
「あ、こいつ元気ないな…」
庭木の一つが、少し下を向いている。
まだ細いその若木は、支え棒をしてやっと立っているっていう有り様で。
「植源さんに電話しなきゃ…」