第16章 IF…
「君には、バスティーユ要塞に行ってもらう」
「え?」
あんなところに!?
だってあそこには、犯罪者がいるんだろ…
「大丈夫。君にはあそこに入ってる、俺達の仲間と連絡をとってもらう係だ」
「連絡…」
「そう。息子のふりをして、堂々と面会に行くんだ」
「俺が!?」
犯罪者の息子だって…!?
「ああ…30歳だとちょっと育ち過ぎだが…君なら大丈夫だろう。20歳ってことにしとけ」
「でも…」
「大丈夫。貴族側はそこまで調べない。あいつらだって、半ば、やる気を失ってるんだ」
「…それだけでいいの…?」
そういうと、二人の表情が硬くなった。
「どういう意味だ…?」
「だって…連絡をとるためだけだったら、このお屋敷に俺たちを住まわせてくれるなんてことしないだろ…?もっと別の仕事があるんじゃないの…?」
「勘のいいやつは、嫌いじゃない…」
ガエタンは唇の片方だけ上げて笑った。
「俺達は…」
ロランが口を開いた。
「バスティーユを陥す」
なにを…言ってる…
「そんなこと…できるわけ…」
「できる。時の流れは俺達に向いている」
ガエタンが窓の外を見た。
「あそこに入っている、俺達の仲間を救い出せば、時流は一気に俺たちに向く」