第16章 IF…
リュカを部屋に残して、屋敷を案内された。
リュカの仕事は追々考えることにして、まずは俺から仕事を教えるという。
「俺…籠屋しかしたことないから…」
少し、怯んでた。
こんなお屋敷で俺ができることなんてあるだろうか…
「大丈夫だ。そんなに難しいことじゃないから」
ロランは笑うと、大きな扉の部屋に入っていった。
そこは多分、食堂に使われていた部屋だろう。
広い部屋に、大きなテーブルが置かれていた。
窓際に佇む人がいた。
「ガエタン、連れてきた」
ガエタンもまた、文人だった。
俺のことをしげしげと見て、破顔した。
「よろしく。俺はガエタンだ」
「リオネルです…」
引きつった笑顔を返しておいた。
ガエタンはロランよりも随分年上だった。
「君はいくつなんだ?」
「30歳です」
「えっ…本当か!?」
「あ…はい…」
「なんてことだ…20歳と言っても通用するぞ…」
俺は身長も小さいし、顔も童顔だ。
年を言ってびっくりされることには慣れている。
「ますます…」
「ね、そうでしょ?」
ロランがくすくす笑う。