第16章 IF…
バスチーユには要塞がある。
普段は気味悪くて、市民は近づかない。
犯罪を犯したものが収容されているからだ。
その近くの貴族の屋敷に向かった。
塀はボロボロに崩れされている。
ここの屋敷の貴族も、亡命したんだろうか。
裏側から回って、敷地に足を踏み入れる。
「すいませーん。籠屋ですー」
呼びかけたら、屋敷から文人がでてきた。
「え…」
貴族の屋敷から、文人がでてくるなんて…
「やあ…ありがとう。厨房へ運んでくれるかな?」
その文人は爽やかに言うと、先に立って歩き出した。
「あの…ここのお屋敷の方は…」
「ああ…ベルギーへ亡命したんでね…接収してやったよ…」
ということは、こいつは国民議会のやつか…
その時、俺のお腹がぐうっと大きな音を立てた。
珍しいことじゃなかったから、そのまま何食わぬ顔をしてあるいていたら、その文人は立ち止まった。
「…腹、減ってるのか…?」
「え…まあ…」
そいつの名前はロランと言った。
ロランは厨房に着くと、パンを一切れ投げてよこした。
「とりあえずそれ、食べておけよ」
そういうと、料理人に命じて何かを作らせた。