第15章 サロメ
夕飯を食べたら、また蔵に篭った。
今度は和也の舞台稽古。
翔ちゃんと相葉ちゃんも一緒だ。
和也の台本をコピーして、そのシーンを丸ごと稽古してみた。
翔ちゃんなんか、舞台芝居するのが久しぶりだからロボットみたいになってた。
相葉ちゃんもなんだか様子がオカシイ。
でも和也の集中力は凄くて。
思わず3人で引きこまれていった。
「ちょ、待って…」
流石に疲れてきて、畳にへたり込むまで稽古は進んで。
気がついたら夜の10時になってた。
「あー…ごめん。もう終わろっか…」
でも和也はまだ、掴めていないみたいで。
台本をもったまま、ぼーっと立ってる。
「ほら…今日はもう風呂入って寝よ?」
背中をぽんと叩くと、ようやく現実に帰ってきたみたいだった。
「あ…うん…」
4人で蔵を出た時、ちょうど潤も帰ってきた。
お向かいの畑を潰して作った駐車場から、潤が歩いてくる。
「おかえり」
「わっ…ビビった…」
裏門の鍵を開けると、潤が素早くはいってくる。
「なに?また蔵で稽古してたの?」
「うん。和也の舞台のほうの稽古してた」
「いいなあ…」
「潤は演出頑張りなさい」
「はぁ~い」