第15章 サロメ
台本を読んでる和也は、とっても男らしくて。
孤独で。
真剣に演じてる和也を間近でみるのは、久しぶりだった。
「ああ…やっぱ、相手がいると違うわ…ありがとうね」
二時間ほど稽古して、終わりにした。
「あなたさ…もっと漢字勉強してよね?」
「もうこの年になったら手遅れだ」
「おばか」
手を繋いで母屋に戻る。
まだ翔ちゃんがリビングにいた。
「まだ寝ないの?」
タブレットをぴこぴこ動かしてる。
「ん。待ってたんだよ」
「え?ごめん、なんかあった?」
和也が翔ちゃんの隣に座る。
「ん。今さ、ちょうど俺たち仕事減ってる時期だからさ。ニノの稽古手伝うよ?」
「えっ…」
「潤はコンサートの演出あるから無理だけどさ、俺と雅紀は手伝えると思う」
「いいの?」
「おう。ニノが一番大変だからね。同じ家に住んでるしさ。協力させてよ」
「ありがとう…翔さん…」
翔ちゃんはZEROの取材あるし、相葉ちゃんはレギュラー一番抱えて大変なのに…
その日から、家の蔵が和也の稽古場になった。
コンサートの振り写しもやるし、舞台の稽古場にもなった。
ばあちゃんちの蔵は大活躍した。