第15章 サロメ
一週間後、和也の舞台稽古が始まった。
台本は事前に貰ってたから、セリフは全部頭に入ったみたいで。
すっきりとした顔で、家を出て行った。
もしかしたら、和也の転機になる芝居になるかな…
グローブ座だから、そんなにお客さんは入らないだろう。
でもきっと和也にとって、いい経験になる。
舞台は、一番役者を育てるから。
「がんばれよ…」
和也を見送ってから、俺も家を出た。
その日から、平行してツアーのリハーサルも始まった。
和也の分は後の方に回して、とりあえず俺の振り写しの分から始まった。
鏡に向かって、4人でフォーメーションを決めながら振りを教えていく。
ところどころ、本人がやってみて合わないところは修正を入れていく。
ニノのところには、見学に来てた屋良っちが入ってくれた。
「ごめんな。ニノの代役なんてさせて…」
「…なんかこういうのジュニア以来だから、新鮮」
くしゃっと笑った。
「ねえ、屋良っち…ニノ、この振りいけると思う?」
「ニノなら大丈夫だよ!」
「じゃあ、ここ屋良っちこのまま入ってみて」
「はぁい」
曲がかかると、屋良っちは飛ぶようにダンスを踊った。