第15章 サロメ
「智…好きだ…」
「和也…」
「好きだよぉ…」
「うん…わかった…おいで…」
そっと手を取って引き寄せた。
俺の胸に飛び込むと、和也は静かに泣きだした。
「俺は大丈夫だから…和也…」
「でも…智、優しいから…」
「潰れないから。お前のこと、好きだし。特別だし…」
「智…」
「お前が俺のこと潰したくなったていうなら話は別だけど…そうじゃなかったら、俺は絶対に潰れない」
「そんなこと思うわけ無いじゃん…」
「ん…だから…大丈夫。俺、お前と一緒にいたいから…」
ぎゅうっと抱きしめると、ちょっと落ち着いたみたいで。
スンっと鼻を鳴らすと、俺を見上げた。
「キスして…?」
首をかしげて目を閉じた。
まつげがキラキラして…
ほんのり赤いほっぺ…赤い唇…
女子かお前…
そんなこと思いながらキスをした。
熱い熱い唇…
和也の熱が俺の中に流れ込んでくるみたいだった。
「和也…愛してるよ…」
「智…」
「愛してる…」
「ん…」
唇に舌で触れて、こじ開けようとした瞬間、台所の扉が開いた。
「うわああああ!」
和也と俺はあわてて離れた。