第15章 サロメ
「えー?なに?」
「んー。今度の役、難しいんだ…」
「えっ…ニノが難しいって言ったら、俺なんか絶対演れない役じゃん」
「どうかなぁ…?」
和也の背中が笑ってる。
「なんだっけ…愛しすぎて、相手を殺すんだっけ?」
「愛ってなにかわからないから、知らないうちに愛してた人を殺す役」
「な、なんだそれ…もう理解不能…」
「だろうね。俺もわかんねーもん」
「ニノはすっごい愛を持ってんのに、そんな役わからねえよな?」
「えっ?」
「えって、お前、自分でわかってないのかよ?」
相葉ちゃんが指についた米粒を食べた。
「ニノほど、愛を持ってる奴いないだろ。リーダー幸せものだね」
「えっ?俺、そんな愛持ってる?」
「持ってるから、そんな嫉妬深いんでしょ?」
「えっ?」
「自分が溢れるほど愛を持ってるから、相手にも求めちゃうんだろ?」
「えっ…」
和也の動きが止まった。
「そ…そうなんだ…」
「だから…リーダーのこと、よく我慢してると思うよ?」
えらいえらい、と頭をなでて相葉ちゃんは台所を出て行った。
「な、なんなのよ…あの人…」
和也の顔が真っ赤だった。