第15章 サロメ
二人がリビングを出て行くと、相葉ちゃんも部屋に行った。
「やーらしいなあ…」
和也がご飯の用意をしながら、呟いた。
「あ、やっぱそう思った?」
「めっちゃ思った」
「だよなあ…」
「潤が顔に出やすいんだよ…」
「正直だもんな…」
二人で苦笑いしてたら、相葉ちゃんが戻ってきた。
着替えてスエット姿になってる。
「はやっ!」
「イリュージョンです」
真面目な顔で言うと、イスに座った。
さっき握ったおにぎりをほうばる。
「あ、梅」
「あるよ。食べる?」
「うん欲しい」
和也が冷蔵庫から小さな樽を取り出した。
和歌山から取り寄せた、甘い梅干し。
俺も一つ食べた。
「このはちみつがいいんだよなあ…」
じんわりと唾が湧いてくる。
和也が俺と相葉ちゃんに、熱い番茶を淹れてくれる。
「お、さんきゅう」
ちびちび飲みながら、うめぼしをもう一個食べた。
「ああ…夏が乗り切れそうだよ…」
「だなぁ…」
夏が、もうすぐ終わろうとしてる。
俺達が一緒に暮らし始めて、5ヶ月が過ぎようとしていた。
「これから、頑張ろうね…」
「お前が一番頑張らなきゃいけないだろ…」
「ふふ…智にヒント貰ったから大丈夫だよ?」