第15章 サロメ
夕食が済んで、二人で風呂に入った。
「ねえ…今日はどっちの部屋で寝る?」
「ん?お前の部屋でいいよ」
「ほんと?」
なんだか嬉しそう。
「なんか嬉しそうだね」
「そう?」
ふふふと笑って浴槽の縁に凭れかかった。
「俺、あなたと居られるならどこだって嬉しいよ?」
すごくかわいい事を言っているけど、やっぱりなんだか怖い…
なんだろ…どうしたんだろ…
「和也さ…やっぱりなんか怒ってる?」
「別に?」
そう言って俺の目をじっと見た。
「な、なんだよ…」
「別に…」
そう言って俺のほっぺにちゅーをした。
「なんにもないよ?」
そう言って浴槽から立ちあがった。
二人で風呂からあがると、そのまま二階の部屋へあがった。
自分の部屋で、適当に服を着て和也の部屋へ向かう。
ドアを開けると、髪を乾かしているとこだった。
ベッドの横の壁に、ばあちゃんの絵が飾ってある。
ちゃんと額に入れて飾ってあるその絵は「サロメ」の絵。
ミュシャの舞台宣伝用の絵の一部を模写したものだ。
「お前よくこの絵と添い寝できるよな…」
「そう?とっても綺麗な絵だよ?」