第14章 雅やかな旋律
リハは、野外だから当然外で。
うだるような暑さの中、日焼け止めを塗りながら進んでいった。
潤の声がスタジアムに響く。
『リーダー、もうちょっとそこ居て』
「鬼…」
まともに日光が当たる花道で、暫く立たされていた。
スタッフさんが日傘を差してくれるけど、焼け石に水ってやつで。
じりじりと網の上で焼かれる、スルメの気分…
『いいよ。移動して』
鬼の声が聞こえたから、歩き出した。
フラフラするな…
こりゃヤバイと思ってたら、目の前が真っ暗になって。
熱射病だ。
そう思った時にはもう遅かった。
ぐっと一気に気持ち悪さがこみ上げてきて、花道から吐いた。
そのまま身体に力が入らなくなって、その場に蹲った。
「リーダーっ」
誰かの声がして、顔を上げたつもりだった。
声が遠くなった。
ひんやりと、何かおでこに載ってる。
ああ…
俺、倒れちゃったのか…
目を開けると、病院にいた。
腕には点滴が刺さっている。
「ちゃんと水分摂ってたんだけどな…」
ゆっくり落ちてくる点滴を見てたら、また眠ってしまったようで。
次に目を開けたら、もう外は真っ暗になってた。