第14章 雅やかな旋律
相葉ちゃんの肢体が、目に浮かぶ。
靭やかに、長い手足を舞わせている。
その強いけど、どこか可愛らしい目。
ああ…もっと…
もっと相葉ちゃんに合った振り、できそうなのに…
キャップを目深にかぶり、光を遮る。
もっと…どうやったら…?
ぎゅっと口を引き結ぶと、音楽に浸る。
「相葉ちゃん…」
「ん?なあに?」
隣に座る相葉ちゃんに呼びかける。
「手、伸ばして」
キャップを上げて、目を向ける。
「え?こう?」
素直にまっすぐ手を伸ばす。
「ん…もうちょっと、こう…」
通路を挟んで、相葉ちゃんの手をいろんな角度で伸ばす。
「なに?振りつけ?」
「ん…なんか、相葉ちゃんのとこ、もうちょっとなんだよ」
「そっかぁ…」
そっと、相葉ちゃんの肩に触れる。
「ちょっと、モダンの基礎やって」
そういうと、すっと肩を落として腕を囲うように丸くする。
「もっと肩落として」
この靭やかな身体のラインを、どうにか生かしたかった。
「こう?」
斜めに肩を落として、挑むような目で俺を見上げた。
「それ、いただき」
もうちょっとで固まりそう。