第12章 空翔ける
「智くん…」
「ん…?」
翔ちゃんの身体を反転させて、抱きしめた。
「どうした?」
「俺……ここに居てもいいの…?」
「え?」
「迷惑じゃない…?」
「誰がそんなこと言ったんだよ…」
「誰でもない…俺がそう思った…」
「なんでだよ…なんでそんな風に思うんだよ…」
「だって…!智くんの生活…ニノとの生活、邪魔してるんじゃないのかって…」
「何言ってんだよ…今更…」
「怖いんだ…嫌われたくないんだ…」
「え…?」
「俺、もう何年智くんに片思いしてると思う…?」
翔ちゃんは腕で目を覆った。
「15年…いや。もっとだよ…?」
「翔ちゃん…」
「どんなカタチでもいいから…繋がっていたい…だけど…だけど…」
ぽろりとまた、涙が落ちるのが見えた。
「嫌われたくないんだ…」
「ばかっ!」
無理やり腕をほどいて、翔ちゃんの顔を持った。
「嫌いになんかならない!」
叫ぶように言うと、噛みつくみたいなキスをした。
「好きだよ…」
キスの合間に…
和也にしか言ったことのない言葉を言った。
翔ちゃんは目を大きく開いて、俺を見上げた。