第12章 空翔ける
「奥さんがいる人には…手は出せませんよ…」
翔ちゃんの身体が離れていく。
反射的に腕を掴んで引き寄せた。
「え…?」
「こいよ」
急になんかのスイッチが入った。
逃げていく翔ちゃんを、捕まえたくなった。
「ちょっ…待ってよ!智くんっ…」
書斎から直結してる、翔ちゃんの寝室へ入った。
乱暴に翔ちゃんをベッドに投げ出したら馬乗りになった。
「いいって言ってるだろ…?」
「え?」
「抱いてやる。全部、嫌なこと忘れてよ」
「智くん…」
翔ちゃんの目が潤んで…
大粒の涙を零した。
「だって…ニノに悪いよ…」
「なんだよ…いつもそんな遠慮しないだろ…?どうしたんだよ一体…」
「わ、わかんな…い…」
腕で目を覆って、また翔ちゃんは泣いた。
「智くん…俺を…愛して…?」
翔ちゃんは…とても熱く乱れて。
何度も何度も俺の手に、熱を吐き出した。
みたこともない翔ちゃんが、そこには居た。
背中にキスをしながら貫くと、身体を反らして歓喜を体全体で表す。
なのに、目からは大粒の涙が零れたままで…
俺には…慰められないのかな…
そう思いながら、その白い身体を貫き続けた。