第12章 空翔ける
「よし…こんなとこかな…」
「みせて」
「だめ」
「えっ…なんで?」
「油絵にしてからみせてあげるよ」
「…じゃあ、絵ができたらそのスケッチちょうだい?」
「え?こんなのより、絵をあげるよ?」
「どっちも欲しい」
「…よくばりだなぁ…」
「だって…嬉しいんだもん…」
「わかった…あげる」
「ほんと?」
「うん」
翔ちゃんがにっこり笑って。
俺も嬉しくて、にっこり笑った。
暫く翔ちゃんの笑顔を見つめてた。
「…智くん…?」
不思議そうな顔をして、俺を見る翔ちゃんはなんだか儚げで。
「翔ちゃん…おいで?」
自然に腕を広げてた。
「え…?」
「だっこしてあげる」
「えっ…そんなっ…」
「いいから、おいで」
強引に腕をひっぱった。
俺の腕の中に倒れこんできた翔ちゃんは、身体を硬くしてた。
「…俺、寝るから、翔ちゃん動いちゃだめだよ?」
「えっ?えっ?」
「抱きまくら」
「俺が!?」
「そう。じゃあ、おやすみ」
書斎のソファで、翔ちゃんを抱えたままゴロンと横になった。
翔ちゃんを癒やすって…どうしたらいいかわからない。
一緒に眠ることくらいしか思いつかなかった。