第12章 空翔ける
『あなたが癒やしてあげれば?』
「えっ?」
『嵐さんなら、俺、いいよ?』
「和也?」
『あ、じゃあもう切るね』
「和也…」
『好きだよ…智』
最後の声はすっごく小さい声。
呆然と、スマホの画面を眺めた。
「智くん?どうしたの?」
「あ、うん…大丈夫」
影山スーツを脱いでもらって、私服に着替えてもらった。
翔ちゃんはちょっと残念そうだったけど…
「どんなポーズしてればいい?」
「あ、もうポージングは大丈夫だから、近くにいて?」
「え…」
また頬を染めて、翔ちゃんは俺の隣に腰掛けた。
スケッチブックを広げて、じっと翔ちゃんを見つめる。
「やっぱり…恥ずかしいね…」
「そう…?かっこいいから、堂々としててよ…」
「えっ…」
「な、なんだよ…」
「智くんがそういうこというの…珍しいね…」
「そう…?」
「俺、かっこいい?」
「うん…かっこいいよ…翔くん…」
「…ありがと…」
さらさらと鉛筆を走らせる音だけが、書斎に響いた。
時々顔を上げると、こちらをみつめる翔ちゃんの目は、熱っぽくて…
照れくさかった。