第12章 空翔ける
「暑いから…母屋戻ろうか…」
「うん…」
夏の日差しに照りつけられたアトリエはすぐに温度が上がる。
トタンの屋根だから、瓦葺の母屋よりも暑いと、皆いってた。
エアコン入れてもなんとなく暑い。
影山スーツなんか着てる翔ちゃんには、きついだろう。
ドアを二個あけて母屋にいくと、やっぱりアトリエよりもひんやりしてて。
「翔ちゃん、顔洗っておいでよ」
「うん。そうさせてもらうね」
「あ、じゃあ…翔ちゃんの書斎で待ってるね」
「あ…うん…」
翔ちゃんの部屋の隣の書斎へ入る。
…どうしようかな…
翔ちゃん、しんどくなってるみたいだし…
俺、なにかできること、ないかな…
ポケットからスマホを取り出して、和也に電話してみる。
『もしもし?』
「あ、出てくれた」
『なによ…緊急の用事?』
「ううん…ごめん…急ぎじゃない」
『俺の声、聞きたくなった?』
「うん…」
『ばっ…なにいってるのよ…』
「あのね…翔ちゃん、なんか悩んでるの…なんか知ってる?」
『え…?翔さんが…?』
「うん…和也ならなんかわかるかなって思って…」
『知らないな…』
「そっか…」