第12章 空翔ける
「いーたーい…」
相葉ちゃんが寝ぐせをつけて、なんとか起きだした。
目を擦りながらベッドから出てくる。
「じゅーん…?起きろー…?」
ばふんばふんと布団越しに潤を叩く。
「いーやー…」
潤の返事が小さく聞こえる。
「起きやがれ…潤…」
翔ちゃんの殺気立った声が聴こえた。
「ひいいぃっ」
相葉ちゃんが飛び退くほどの声を上げて、潤が起きた。
「起きるっ…起きるからっ…翔くんっ!」
「よし。いいこだ」
「へ…なにその格好…」
「おはようございます。おぼっちゃん方」
相葉ちゃんと潤の手をとって、交互にキスをした。
「影山でございます」
「ひゃああああ~」
潤が嬉しそうな声をあげた。
「本物だああああ~」
あん時散々みてるのに。
笑いがこみ上げてくる。
相葉ちゃんと潤は、翔ちゃんにまとわりつくように、ダイニングに歩いて行った。
翔ちゃん…大人気だな…
苦笑いしながら俺は、アトリエに入った。
ここ暫く絵を書いていなかった。
フィギュアなんかより、油絵が書きたかった。
書きかけの和也の寝顔、早く完成させたい。
もう、何枚目かわからない寝顔だけどね。