第12章 空翔ける
「でも、さっきまで和也といちゃいちゃしてたから、やめとく」
「なんだよ…それ…」
「だって…翔ちゃんいやでしょ?」
「いい…」
「へ?」
「いいから…キス…しろよ…」
「め、命令するなよ…」
「じゃあお願い!お願いします!キスしてください!」
「ええええ!翔ちゃん!?」
「いいもん…ニノとしたキスの後だったら、別にいい…」
俺に抱きつきながら、見上げてきた。
頬を真っ赤に染めて…
唇が赤い…
女の子みたい。
「軽く…だよ?」
「いい…早く…」
翔ちゃんの顔を持ち上げて、ちゅっと軽く触れた。
「ん…」
翔ちゃんの声が、くぐもって。
ぎゅっと俺の腕を掴んだ。
そのまま、翔ちゃんは目を閉じて。
俺の腕の中で眠ってしまった。
すやすや寝息を聞きながら、俺もなんだか眠くなってきて。
翔ちゃんを抱え上げると、部屋へ連れて行った。
翔ちゃんの部屋は寒くて。
リビングの後片付けをしたら、また様子を見に行った。
布団を蹴散らして、いびきをかきながら眠ってる…
大丈夫か…この人…
風邪ひきそうだなと思ったから、隣に身体を横たえた。
布団を一緒に被って、俺も眠りについた。