第11章 夢ゆら
「風呂、先にもらおっか」
「うん、準備してくるよ」
和也が洗い物をしている間、風呂掃除をしてお湯を張る。
戻ると、和也も終わっていて。
そっと抱きしめると、和也のにおいをかいだ。
「ふふ…変なの…」
和也が笑いながら、俺の身体に手を回した。
「変なの…嵐って…」
ぎゅっと抱きしめると、また笑った。
「変なの…俺達って…」
俺も和也を抱きしめた。
「いいんじゃない…?皆が皆を大事で…皆が皆を好きでも…」
「うん…」
そっと和也の髪に唇を埋めると、キスをした。
「みんな、大事…」
そう呟いたら、和也がぎゅうっと力を入れた。
「大事すぎて、怖くなるね…」
潤が、翔ちゃんが流した涙。
理由がわかる気がする。
嫌われたくない…
いつもまでもこうしていたい…
だから、壊したくない。
そうやって、お互いがお互いを大事にして、臆病になって…
「もっと、自由になれたらいいね」
「え?」
「もっともっと、俺たちは自由になれるはずだよ」
遠くにいても、近くにいても。
関係ないくらい。
俺たちは自由になれるんじゃないかな。