第4章 ばあちゃんの庭
「だって、もったいないじゃん!空き部屋いっぱいあるじゃん!」
「いや、そうだけど…」
「なにも本格的に引っ越してなんてこないよ?なんもない日は、ここに通わして?あと、部屋一個ちょうだい?」
いやいや、要求多いな。
「そりゃ、遊びにくるくらいならいいけど…木の世話までできないだろ?」
「大丈夫!がんばるから!」
そう言って相葉ちゃんはにっこり笑った。
「だって、もうすぐ春だよ?お庭作るなら、チャンスだよ…」
そう言って楠を見上げた。
「なんか…寂しそうなんだもん…」
俺達も楠を見上げた。
ばあちゃんが居た頃は、きっとこいつもたくさんの木や花に囲まれてたに違いない。
寂しそう、か。
相葉ちゃんじゃないとでてこない発想だなと思った。
「そうだな…なんか植えてみるか…」
「大野さん…お世話できんの?」
「ん?まあ、やってみるよ」
「だーかーら!俺が通うから!」
相葉ちゃんがにこにこしながら見上げてくる。
「あそこに温室みたいなのあるよ!」
またトテトテと走りだした。
みてみると、相葉ちゃんが立って入れるくらいの大きさの温室らしきものがあった。