第10章 LIFE
翔ちゃんと潤が帰ってきて、うちの中が賑やかになった。
「さとーしくんっ」
翔ちゃんが洗面所で手を洗っている俺のところにきた。
「あ、おかえり」
「ただいま。手、洗わせて」
ハンドソープを手にとって泡立ててる横顔。
女の子みたいに綺麗で。
手を拭いて、その頬にちょんと触れた。
「えっ…なに?」
「ん?なんでもない」
にやっと笑って言うと、翔ちゃんもにやっと笑った。
「触りたかったら、もっと触ってイイよ」
っていうから、触ろうとしたら、
「唇でね」
って言って、いたずらっこみたいな顔をした。
お望み通り、ほっぺにちゅってしたら、逆にびっくりした顔をして。
おかしくなって、ぷっと吹き出したら、翔ちゃんも笑い出して。
「智くん、ここに欲しいな…」
急に真顔になって、唇を指差すから、ちゅっと軽く触れた。
そしたら、今度は下を向いちゃって…
「ありがと…」
なんだろ…
俺をリードしたかと思うと、急に恥じらうし。
翔ちゃん、ほんと…
かわいい…
そっと翔ちゃんを抱きしめたら、少し震えたから、もっとぎゅっとした。
「俺…甘えちゃうよ…?」
「うん…いいよ」
そう答えたら、ぎゅっと抱きしめ返された。