第3章 引っ越し
「ふあ~…あったまる…」
「ん~…ちょっと熱い…」
「え?あ、そっかごめんね。ぬるくするよ」
「ん、大丈夫。俺、先に身体洗うから」
湯船を出ると、またシャワーを出した。
シャンプーとか、セットしてある。
「これ、使っていいの?」
「いいよ。そのために用意したんだから」
「じゃ、遠慮なく…」
ニノの匂いがした。
目を閉じて髪を洗っていると、ニノに包まれてる感じがした。
「…ね、リンスとかしないの?」
「え?最近しねーな…」
「あんた…アイドルでしょ…」
そう言ってニノは湯船から上がってきた。
み、見えてるっつーの!
コンディショナーを手にとって俺の頭に塗り付けた。
もっとニノの匂いがした。
俺はされるがまま。
「ほんとこれからは、あなたのケアもしなきゃねー…」
「は?なんだよそれ?」
ニノはリンスだらけの手で俺のほっぺたをひねった。
「このがさがさ肌っ!毎晩マッサージね!」
「えええ!?」
ぐるっと椅子ごとニノの方を向かされた。
シャワーでお湯を掛けられて、コンディショナーを流された。
かと思ったら、あわあわの洗顔フォームで顔を撫でられた。
にのの短い指が、俺の顔を滑ってる。
そう思うだけでなんだかくすぐったい。
「むひ…」
ヘンな声が出た。