第3章 引っ越し
キッチンと、リビング、それに俺の部屋。
そしてアトリエ。
後のニノと被る荷物は、蔵に仕舞ってある。
俺の荷物はそれだけ。
風呂とか共用部分のものはニノが用意してくれた。
それが家賃なしの条件だとか何とか言って。
俺、別になんも言ってないんだけどね。
守銭奴にしては、太っ腹なこと言うなって思った。
俺の部屋の荷物をとりあえず片っ端から開ける。
ニノが時々これどこ?とか聞いてくれて、そこの押入れ入れてとか、そんな会話をしながら黙々と片付けた。
とりあえずは粗方片付けて、なんとか寝られる状態までは持っていった。
リビングは明日でもいいや。
引っ越し休暇を2日もらった。
ニノもそれに合わせたので、さぞ3日は暮らしにくかっただろう。
でもそんなのは全然見せない。
「ん。また明日がんばろ?」
「ん。ありがとな」
そう言って、頭をポンポンと叩いた。
「んふ…子供じゃないんだから…」
そう言って嬉しそうに笑った。
「風呂入っちまえば?」
なんだか耐えられそうにないから、視線を逸らした。
「一緒に入る?」
「は、はぁ!?」
「へ?いつも一緒に入ってるじゃん」
「そりゃお前…コンサートの時限定だろが…」
「いいじゃん。節約になるし。準備してくる」
そういうと、パタパタと部屋から出て行った。