第9章 FREEDOM
翔ちゃんは、おにぎりをじっと見つめた。
「どうしたの?食べないの?」
「うん…なんか懐かしくなって…」
「え?」
「昔、こうやっておにぎりくれたことあったよね…」
「そうだっけ?」
そういうと、翔ちゃんはふふっと笑った。
「そうだよ。智くんは昔から、かわらないねぇ…」
目尻に皺が寄った。
翔ちゃんは本当に幸せそうに笑った。
「そ、そう…?」
なんだか照れくさくなって…
翔ちゃん、俺のこと好きって。
やっぱりほんとなのかな…?
どぎまぎしてたら、相葉ちゃんが俺達の方に寄ってきた。
「なーに、いい雰囲気になってんのよ?」
ちょっとセリフががった言い方で、にじりよってくる。
「こ、こわいからやめろ」
貞子みたいだ。
潤が後ろでぷっと笑ってる。
あ、よかった。
笑えるくらいには元気になったんだ。
和也はそんな潤を見上げて、目を閉じた。
その横顔は笑ってた。
ああ…
皆、思ってるのかな。
この雰囲気が懐かしいって。
そう思ったら、嬉しくなってきた。
俺も畳に寝転がって、貞子になった。
相葉貞子と大野貞子が現れて、翔ちゃんは爆笑した。