第9章 FREEDOM
「も~しょうがないな~」
にやにやしながら、俺の背後に迫る。
「潤!潤っ!」
外から翔ちゃんの声が聞こえてきた。
相葉ちゃんが振り向くと、慌てて駆け出していった。
翔ちゃんの声がただ事じゃなかったから、俺達も飛び出していった。
「潤っ!しっかりしろって!」
翔ちゃんが蹲る潤を抱きしめてる。
「どうしたの!?翔ちゃん!」
相葉ちゃんが走りながら声をかける。
「頭痛が出たみたいだ…どうしよう…」
ここは多分、トンネルの中間地点で…
「う…大丈夫だから…」
潤の声は震えていて…
「ばかっ!こんなときに強がるなっ!」
俺は言うと、潤の前にしゃがみこんだ。
「ほらっ。おぶってやるから!」
「リーダー…」
「早く!車に戻るぞ!」
車に戻れば酸素吸入がある。
早く戻らないと…
潤がなんとか俺におぶさると、なるべく振動を与えないように急いで引き返した。
途中で相葉ちゃん、翔ちゃんと交代してなんとか車に着いた。
和也が運転して、すぐにこの日泊まる宿に向かった。
酸素吸入しながら、潤は苦しそうにしていた。
病院に行こうって言ったんだけど、潤は泣いて嫌がって。
みんなと旅行したいっていうから…
甲州市内に取った宿に、早めについてしまった。
でも、俺たちは用心して、その日の宿を4室分キープしてた。
一部屋で泊まる予定だけど、両サイドと向かいは無人にしてもらったのだ。
もちろんお金はちゃんと払ってある。
だから、ちょっとくらい無理が言えると踏んでいた。