第8章 ミュシャ
「ホントでも、性格出てて笑うわ…」
次の日の朝、翔ちゃんが朝食を待ちながら笑ってる。
雅紀と和也は忙しく、キッチンを動いてる。
俺と翔ちゃんはダイニングテーブルで大人しく飯ができあがるのを待ってる。
潤は昨日遅かったので、まだ寝かされてる。
なんと、今日は5人ともオフなのだ。
「なに?」
翔ちゃんの笑みの理由がわからなかったから聞いてみた。
「あの後ね、ミュシャの絵を調べてみたらさ、ほんと面白かったよ」
「あ、でしょ?それぞれが選んでた話、面白かったでしょ?」
「うん。すっごく面白かった」
翔ちゃんが頬杖ついて、にこにこしてる。
凄く綺麗な笑顔を俺に向けた。
朝日のせいかな。
ちょっとまぶしい。
「ニノのメディアは1番笑った」
「やめろ…怖いわ…」
「智くん、殺されないように気をつけてね?」
くすくすと笑って、コーヒーを一口啜った。
「不貞が元でああなったんだからね?」
にやりと笑った唇が、あまりに艶めかしくて。
思わず俺は、目を逸らした。
女の子みたいじゃないか…
そんなこと、お構いなしに翔ちゃんはしゃべり続ける。
「やっぱり、潤と俺。似てるわ…」
「へ?」
「ん?なんでもないよ…」
そう言って立ちあがって、料理を運ぶ手伝いに行った。
翔ちゃん…?