第8章 ミュシャ
「なに笑ってるの?」
潤が不思議そうな顔をして聞く。
「いや、やっぱりお前ら芸能人なんだなって…」
「え?なんで?」
「だってお前らが選んだの、全部、舞台のポスター用に描かれた絵だよ?」
「えっ?ほんと?」
和也がしげしげと絵を見つめる。
「100年くらい前の舞台宣伝の為に描かれたものだよ」
「へぇ…そうなんだ…なんか凄い…」
「凄いのはお前たちだよ…やっぱ、無意識でそういうの選ぶんだな…」
雅紀の選んでたのは、ハムレット。
これは女性じゃなくて、ハムレットが描いてある。
少年の心を持つ、雅紀らしいチョイス。
潤が選んだのはトスカ。
愛に生きる激しい女の生きざまの芝居。
そんなポスター選ぶなんて、ある意味潤らしい。
翔ちゃんが選んだのは椿姫。
こちらも悲恋だけど、激しい女の話。
なんで翔ちゃんが選んだか謎。
和也が選んだのはメディア。
怖い…
そのうち、俺殺されるんだろうか…
それぞれが、絵を満足そうに胸に抱いてる。
「リーダーはいいの?」
相葉ちゃんが聞いてきたけど、首を横に振った。
「俺は俺の絵があるから」
「あ、そっか」
皆、微笑んだ。