第8章 ミュシャ
しばらく4人で絵を眺めてた。
気がついたら潤も入ってきてて、5人になってた。
苦笑いが浮かんだけど、この絵がそれだけ皆を惹きつけてるんだって思うと、ちょっと誇らしくなった。
徐ろに和也が、一枚の絵を手にとった。
「これ、俺の部屋に飾ってもいい?」
俺の顔を見て言った。
覗き込むと、さっきのとはちがうミュシャの絵だった。
「もちろん」
そう答えると、和也の顔に喜色が浮かんだ。
「これ、すっごい好み…」
「ミュシャの描く女性って、セクシーな格好してるのに、なんかやらしくなくていいんだよな…」
女性の柔らかさ、曲線の美しさがとにかくいい。
でもよく見たら、全然そんな絵じゃなかったけど…
「アール・ヌーヴォーだよね…」
翔ちゃんが顎を撫でながら、その絵を眺めた。
「いつか、ドイ・コレクション全部見たい」
ぽつりとつぶやいてみたけど、誰からも反応がなかった。
まぁ、そうだよな…
ぽりぽりと頭を掻いていたら、相葉ちゃんも一枚絵を手にとった。
「じゃあ俺、これ!」
相葉ちゃんもミュシャの絵を手に取っていた。
「じゃあ俺はこれ」
潤はさっきの1番大きなカンバスのミュシャを手にとってた。
「じゃあ、俺はこれかな」
翔ちゃんは1番小さいミュシャを手にとってた。
どれもポスター画の写しで、なんとなく笑った。