第8章 ミュシャ
それはミュシャの絵の写しだった。
他の絵も見てみると、どれも有名な絵画の写し。
「ばあちゃん…すげぇな…」
いくら絵が描けても、これだけの絵をしかも全部忠実に複写なんてできない。
この少し大きいカンバスのミュシャは特別艶めかしい絵で。
女性の腰のラインが、本当に美しくて。
思わず見とれてしまう。
もっと奥の方に、凄く大きなカンバスがあったから、それをみたら…
ダヴィンチの「最後の晩餐」。
めまいがした。
なんて凄い…
暫く翔ちゃんと二人で、絵を全部見てみたけど、ばあちゃんの絵は一枚もなかった。
全部、有名画家の有名な絵の写し。
「智くん…おばあちゃん、すごい人だったんだね…」
さすがの翔ちゃんも、これだけみたことあるような絵を見たら、凄いと思ったみたくて。
「ちょっと何してんの~?」
相葉ちゃんと和也が入ってきた。
後からぴょこっと潤まで顔を出した。
「あっ!お前っ!」
翔ちゃんが言うと、潤はびゅーっと逃げていった。
子供か…
「え?これおばあちゃんが描いたやつ?」
相葉ちゃんがめっちゃびっくりしてる。
「そうみたい…ここに残してあるの、全部ばあちゃんが複写したやつみたい…」
「うわ…凄いね…なんか…」
和也もなんか感動してる。