第3章 教授を追う先生。
「今の、一体どうなったの?」
「当たったと思ったんだけど…」
ハリー達が驚いて互いの顔を見やり、スネイプの方を再び見た。
「あれ?」
「ミズキ先生?」
スネイプの隣には、先日就任してきたばかりのミズキがいた。
さっきまで居なかったはずなのに。
その手には杖が握られている。
それはほんの少し、時間を遡ったときのこと。
スネイプが後ろを振り返ろうとした、まさにそのときだった。
「スネイプ教授」
不意に横から声がかかったので視線をそちらへ向ければ、見慣れた彼の助手の姿があった。
「どうした」
「生徒のレポートの件で、少しお聞きしたいことがありまして」
「…わざわざ探しに来たのか?」
研究室で待っていればいいものを、と思ってスネイプは片眉を歪めた。
その表情は(変な奴だ)と彼が思ったときに出るもので、学生時代から変わらないな…とミズキはくすりと笑った。
「はい。早く終わらせてご一緒にティータイムでも、と」
「どうせ淹れるのは私だろう」
「ふふふ」
エメラルドグリーンの瞳が嬉しそうにスネイプを見上げる。
「今日はザラメのたっぷりかかったかりんとうを用意しました」
「あぁ、あれか」
「なので、早く研究室に帰りましょう!」
急かされたスネイプは後ろを振り返ることも忘れ、ミズキと共に歩いていった。
前から近づいてきていたハリー達三人に一瞥をくれることは忘れなかったが。
「スネイプが二人に気づかなかった…」
「有り得ないわ!」
「っていうか、いつからミズキ先生はここに居たんだ?」
三人は首を捻りつつも、ピンク塗れになった双子の元へ駆け寄った。
「どう思う、フレッド」
「どうもこうも。これはもう確実さ」
ピンク色に染まった二人は互いにうんうんと頷いている。
「一体何があったの? 絶対にスネイプの奴に当たったと思ったのに」
弟の言葉に、双子は大きく頷いた。
「僕たちもそう思ったさ。でもこれは…」
「これは?」
「「ミズキ先生の仕業だね。間違いない」」
「えぇ? どういうこと?」
ポカンとするロンにハーマイオニーが呆れた声を出す。